公開当時、日本の映画史を塗り替えたと言っても過言ではない程の観客動員数を誇ったアニメ作品『鬼滅の刃』
その興行収入は不朽の名作『千と千尋の神隠し』を抜いて歴代1位を記録しました。
週刊少年ジャンプでの連載が終了した後も、アニメ化により幅広い年齢層のファンを獲得し続けています。
そんな『鬼滅の刃』に登場する鬼たちは、敵ながらも魅力的なキャラクターが非常に多い印象を受けます。
中でも宿敵・鬼舞辻無惨直属の部下である十二鬼月と呼ばれる鬼たちの内、上位6名で構成される上弦の鬼
そんな上弦の鬼たちのモチーフが何と大正時代に流行った疫病ではないか?という説が存在するので、諸々考察していきたいと思います。
【本記事は少々ネタバレも含みます】
目次
上弦の鬼達に対応するとされる疫病
それでは早速、上弦の鬼達のごく簡単な紹介と彼らに対応するとされている疫病をチェックしていきたいと思います。
上弦の鬼のモチーフに伝染病や疫病が選ばれたとされる理由は、医療の発達していない時代に病気の事を鬼と呼んでいた為であると言われています。
鬼=病気であり、上弦の鬼は特に致死率の高い感染病などを表しているとされています。
対してそんな鬼と対峙する鬼殺隊は薬であり医療と解釈出来るというわけです。
故に『鬼滅の刃』は犠牲者が大量に出てしまう病気に対して人類が研究と進歩を重ねてワクチンや治療薬を作っていったお話、と読み替えることができると言われています。
「フィクションはノンフィクションのパロディ」であるという言説もありますし、ファンタジー作品の多くが実際に起こった事や歴史的事象の暗喩であるともされています。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、個人的には信ぴょう性が高い説であると感じています。
それでは、上弦の壱からみていきましょう!
上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)
黒死牟に対応する疫病は黒死病(ペスト)であると考えられています。
過去幾度も世界的な流行を引き起こし、14世紀の大流行では世界人口の2割が死亡したとされる非常に恐ろしい疫病です。
十二鬼月最強の鬼として多くの人間を食べてきた黒死牟は、大正時代当時非常に致死率の高かった(治療が行われない場合は致死率は60%~90%にも達するとされる)黒死病のイメージと合致します。
ペストの症状の1つである全身の黒い痣同様、黒死牟の顔にも痣が浮き出ています。
上弦の弐・童磨(どうま)
童麿に対応する疫病は結核であると考えられています。
結核は呼吸により結核菌を吸い込むことで肺に炎症が起こる病気です。
童磨はRPG風に表現すると所謂氷属性の血鬼術を駆使して戦いますが、この氷を吸い込むと肺が凍って呼吸不全に陥ってしまいます。
童磨の場合はその生い立ちや名前等ではなく、技や攻撃方法が結核の特徴を含んでいる模様。
加えて、大正時代に結核の治療薬が登場しましたが、副作用で視力が低下する危険性がありました。
それを裏付けるが如く、童磨を倒したカナヲは彼岸朱眼を使った結果右目を失明しています。
上弦の参・猗窩座(あかざ)
猗窩座に対応する疫病は麻疹(はしか・ましん)であると考えられています。
麻疹は現代の日本でもワクチン接種を強く勧められる病気であり、発症すると風邪に似た症状が出る他、全身に赤い発疹が広がるのも特徴です。
この特徴のため、かつては赤い斑(ぶち)が瘡(そう=できもの)と書いて「赤斑瘡(あかもがさ)」と呼ばれていました。
猗窩座(あかざ)と赤班瘡(あかもがさ)、無関係とは思えません。
加えて、猗窩座の体の刺青のような模様と麻疹よけの呪文が似ているとする説もあります。
上弦の肆・半天狗(はんてんぐ)
半天狗に対応する疫病はハンセン病であると考えられています。
『ハンセン病』と『半天狗』の語感や言葉の響きが似ていることも由来の理由であるとされていますが、皮膚に瘤ができたり体が変形したりという症状が半天狗の外見に通じるものがある事も大きな理由です。
ハンセン病は『らい病』とも言われ、外見や感染への恐怖心から患者が差別の対象となることも多かったとされています。
スタジオジブリの大ヒット作品『もののけ姫』において、石火矢を作っていた包帯ぐるぐる巻きの村人達もハンセン病患者であるとされており、作中においても差別の対象として描かれていました。
しかし現在では治療法が確立し、隔離の必要のない病気であることがわかっています。
加えて、生前の半天狗が「盲目であることを偽り金品を盗む小悪党」だったことから、らい病が英語で嘘を意味する「lie」に通じるという考察もあります。
上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)
玉壺に対応する疫病はアメーバ赤痢であると考えられています。
アメーバ赤痢は汚染された水や食べ物を口にすることや、性行為によって感染する為、水を操る玉壺に対応する病気として適当であると言えます。
なお、アメーバ赤痢は細菌ではなく寄生虫によって引き起こされます。
上弦の陸・堕姫(だき)/妓夫太郎(ぎゅうたろう)
堕姫と妓夫太郎に対応する疫病は梅毒であると考えられています。
梅毒は治療法のない時代では非常に致死率の高い病気であり、主に性行為によって感染します。
堕姫の本名である『梅』は、母親の病気の名前からとられたと作中で述べられています。
梅と妓夫太郎の母の病名は明らかにされていませんが、遊女だったことを考えると梅毒だった可能性が非常に高いです。
胎盤を通して遺伝する先天性梅毒の症状の一つとして、ハッチソン歯という歯の形成不全症状がありますが、歯がギザギザの妓夫太郎の容貌がこれに合致すると考えられています。
妓夫太郎の毒を駆使した攻撃も梅毒を連想させます(とは言え、毒を使う上弦の鬼は他にも存在する為妓夫太郎の専売特許ではありません)。
よって兄妹揃って梅毒がキャラ設定のモチーフになっている可能性が極めて高いと言えます。
半天狗の後継、新上弦の肆・鳴女(なきめ)
鬼舞辻無惨の側近、鳴女に関しては対応する疫病がこれといって見当たりませんでした。
一部「天然痘ではないか?」という説も目にしましたが、個人的にはどうも当てはまる気がしません
堕姫・妓夫太郎の後継、新上弦の陸・獪岳(かいがく)
獪岳に対応する疫病はコレラであると考えられていますが、他の上弦の鬼と比較すると確証はあまり高くありません。
鬼化した獪岳の斬撃を受けると皮膚の表面から水分がなくなってひび割れ続けますが、これがコレラによる重度の脱水症状に相当するのではないかと解釈されています。
全ての鬼の頂点に君臨する鬼舞辻無惨は一体何?
鬼の首領にしてその生みの親である鬼舞辻無惨に対応する疫病はガン(悪性腫瘍)であると考えられています。
「脳や心臓が複数あり自在に動かせるので首を切っても死なない」事が、転移を繰り返す悪性腫瘍の特徴と重なる為です。
加えて、「太陽の光を浴びると死ぬ」事が、ガンに対して放射線治療が有効とされている事と合致します。
しかし、他の鬼達もまた太陽の光を浴びると死んでしまいますし、無惨の「鬼を生み出す呪われた能力」はどちらかと言うと病気そのものを生み出す根本的な何かであると解釈した方がしっくり来ます。
とは言え、それが何たるかを立証する事は不可能なので、とりあえず「まぁおそらく悪性腫瘍でしょう」という見解に至りました。
加えて、ペスト、結核、麻疹、ハンセン病、アメーバ赤痢、梅毒は大正時代頃に治療法が確立し始めましたが、ガンに至っては未だ人類はこの病に打ち勝っていません。
つまり、現実世界における鬼舞辻無惨はまだ倒されていない事になってしまいます。
炭治郎は炭疽菌?!
最後に、本作の主人公である竈門炭治郎。
そんな炭治郎の由来が何と炭疽菌ではないか?という説が存在します。
「炭治郎が疫病?どういう事?炭治郎」と思う方もいるかも知れませんが、彼は物語の終盤で鬼舞辻に血を注がれ鬼と化してしまいます。
鬼舞辻の本体を内包する故か、作中最強クラスの鬼として描写されています。
上弦の鬼に含まれはしないものの、鬼殺隊にとって強力な敵となり果てた鬼化炭治郎は最強最悪の感染症肺炭疽症を彷彿とさせると言っても過言ではありませんよね。
この肺炭疽症はあのエボラをも凌ぐ程致死率の高い感染症で、生物兵器として転用された場合大惨事を引き起こすとされています。
まとめ
作者や担当編集者が直接「上弦の鬼達の由来が疫病である旨」を発信したわけではありませんが、一つずつ調べていくとどれも信憑性が高く大変驚きました。
今この時代にヒットすべくしてヒットした作品ではないかと感じました。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
しまじろう
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